退職代行サービスが注目される背景に不安あり

昨今、退職代行会社サービスは、この時期になるとニュースで取り上げられます。新年度は、職場で部署異動があったり、人事異動により上司が変わったり、大卒の新任者の入社などがあります。自己都合による転職もあります。働く人の環境が大きく変化する時期でもあります。

先日、新任者の退職代行会社への申し込みが1日で20人以上という記事を見ました。その理由は様々ですが、大きく分けると2つあります。1つ目は、会社から事前に説明を受けていた内容と労働条件や職種が異なること。2つ目は、入社式や新任研修を受ける中で、上長の部下への指導が厳しい印象を目にした、自分の能力が仕事をするには十分ではないではないかと思うこと。どちらも背景には「不安」が潜んでいます。

学生時代との立場の変化に目を向けてみましょう。

1つ目ですが、社会人としてデビューするにあたり、自分の希望や意にそぐわない点が職場や仕事にあるのは当然だと思えない学生が少なからずいるということです。学生時代は、属性においては皆「学生」で同じです。大学は、学問を学びたい意思を持って集まった者の集団であり、学生の役割は「学業」と明白です。学生側に金銭的な対価はありません。それどころか、学生側が大学に授業料を払って学ぶ機会を得ます。

一方、社会人になり組織に属した場合は、そこに集まっている人たちの属性が異なります。年齢も知見も立場も地位も仕事内容も異なる人たちの集団です。それが組織というものです。接客をできると思って入ったのに、洗い場を任された・・・、残業はないと言われたのにある・・・との理由で退職に早々に踏み切る。どのくらい洗い場での仕事をすることになるのか?残業は今月だけなのか?月平均何時間くらいか?残業の原因は自分に起因するのか、それとも周りの環境によるものなのか?辞めてしまったら、今後どのように職場での自分の業務が展開していくかを検証する機会を逸してしまいます。

上司の指摘を厳しいと感じるかは人それぞれ。

2つ目ですが、部下への指導が厳しいは、受け手の印象であって個人差があります。ハラスメントが騒がれる昨今、不適切な指導は逆に上司の命取りになる時代です。指導を受けている内容が、業務に対してのミスや改善点の指摘であるならば、組織の中では起こり得る事です。指導されなかったらいつまで経っても業務を習得できません。

仕事とは、自分の時間と技能を提供して対価をいただく一種の契約です。そこには一定の拘束力と責任が生じ、求められている業務において結果を出すことが求められます。

おわりに

入社して数日で退社をするのは個人の意思に基づく自由な選択です。同じ状況下で辞めてしまう人、とどまる人の心理の違いは何だと思いますか。そこには「不安」の大小が関係してきます。自分自身の不安の性質を知り、不安を軽減する方法をカウンセリングで一緒に取り組んでみませんか。

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